「ウキを知りたい −基本を覚えて使い分けよう−」10

第10回 底釣りのナジミ幅について


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1.前書き

今月も前回に引き続き、底釣りにスポットをあてて解説を行っていきたい。

宙釣りでは、エサがなくなると特殊な場合を除いて、エサ落ち目盛がでる。しかしながら、底釣りでは、エサ落ち目盛以上の目盛がでていてもエサが持っていることもある。逆に、なじみ幅がでていても、エサが持っていない場合もある。

この辺りのウキの動きが、底釣りを難解なものにしているのではないだろうか。

前回ご紹介した「表面張力を逆利用したフロ−トによる水深測定」のおさらいも含めて、持論を展開していきたい。


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2.表面張力を利用した水深の測り方について

基準を持つことは大切なことである。基準となるエサ、基準のエサ落ち目盛等、基準を持つことによって、刻々と変化する状況に適切な次の一手を打つことができる。

特に底釣りにおいては、水深測定、俗に言う「底立て」が基準のひとつになることは言うまでもない。

前回の解説とダブル部分もあると思うが、図示しながら、改めてその手順を解説したい。

下図を参照していただきたい。

出典:「へら専科」2005年12月号より

@上針1本のみで、大まかなエサ落ち目盛を決め、針に粘土オモリをつける。

A蝋をこすりつけたフロートをウキのトップに取り付け、通常どおりに振り込む。蝋を塗ったフロートは、沈んでしまう程のタナトリゴムを有しながらも、表面張力により浮いている。この浮いている間に、ミチイトが真っ直ぐに張る。

B竿尻を引いて、表面張力を開放するとウキは沈んでいく。

Cその作業を何度か繰り返すと、粘土製のタナトリゴムが底について、「トン」といった感じでトップが止まる。止まった位置が上バリトントンの位置となる。

Dこの位置にトンボを装着、さらに下バリを装着し、ウキ下を浅くして、正確なエサ落ち目盛を設定する。

Eトンボの位置にウキのエサ落ち目盛をあわせると、上バリトントンの位置となる。この状態で振り込むと、ハリの重さが消えるため、エサ落ち目盛よりも、わずかに下の目盛がでる。

3.底釣りのナジミ幅について

底釣りでは、両方のエサが着底しているのもかかわらず、なぜナジミ幅がでるのだろうか。ダンゴエサとグルテンエサでは、同じタナでもなぜナジミ幅が異なるのだろうか。また、竿を送ってやる(前につきだしてやる)と、なぜウキは上がってくるのであろうか。

以下、これらの疑問について、解説していきたいと思う。

下図を参照していただきたい。

出典:「へら専科」2005年12月号より

@振込み後、ウキが立ち上がり、なじんでいく。この時、エサとハリスはオモリに引かれて沈んでいく。ウキは、エサ、ハリス、オモリに同調しながら、徐々になじんでいく。

A水中ビデオで見ると、道糸は水の抵抗力を受けて「く」の字のようにたわみながら、沈んでいく。特に振り切って打った場合は、顕著にこの現象をみることができる。

B次ぎにハリスを伴って、エサが沈下していく。ここでもハリスは、弾性や塑性が関係して、「く」の字のようにたわみながら、沈んでいく。

Cエサの重みに伴って、オモリも沈下する。つまり、オモリの位置が、空バリの時よりも下がる。この場合、オモリの位置が下がらなければ、エサの沈下はウキの真下まで続くのだが、オモリの位置が下がることにより、エサはウキの真下に達する前に水底に着底してしまう。従って、エサの着底点はウキの真下から少し横方向にズレたことになる。すると、エサは船のイカリのように、横にズレた分だけ、仕掛け全体を引っ張る。この力が、エサのナジミ幅になって現れる。このナジミ幅は、宙釣りにおけるエサの重さではなく、あくまで仕掛け全体を引っ張る力である。従って、比重の重いエサほど、引っ張る力が強くなり、ナジミ幅が多くなる。同じタナでも、両グルテンのときは、ナジミ幅が少なく、両ダンゴにするとナジミ幅が多くなるのは、エサの比重の違いにより、仕掛けを引っ張る力が違うからである。また、竿を送ってやる(前につきだしてやる)と、仕掛けを引っ張る力が弱まるため、ウキが上がってくる。

以下は、あくまで私見であるが、底の状態がよく、正確にタナが取れている場合には、以下の現象を見ることが出来る。

エサ落ち目盛り、もしくはエサ落ち目盛りを通過してすぐの目盛りでほんの一瞬、ウキが止まる。

その後、またゆっくりとなじんでいく。

これは、底の状態がよい場合、エサが着底した瞬間をウキが表現しているのではないかと考えている。その後のなじみは、エサがイカリのように作用して、仕掛けを引っ張っているのではないかと感じている。

*上記状態は、あくまで、ヘラブナがはしゃいでいない場合であり、また、尽心作を使用して感じることである。ヘラブナの状態、他作者様のウキを使用した場合には、異なる場合もある。

4.かけ上がりおよび逆かけ上がりでの底釣りのナジミ幅について

それでは、かけ上がりおよび逆かけ上がりでの底釣りでは、どうなるのであろうか。ベテランの方であれば、既に十分ご経験のこととは思うが、かけ上がりの場合には通常のフラットな底の状態よりも、ナジミ幅が多くでる。逆に逆かけ上がりの場合には、ナジミ幅が少なくなる。

下図を参照していただきたい。

出典:「へら専科」2005年12月号より

上記の「底釣りにけるナジミ幅」で解説したように、エサの重みに伴って、オモリは沈下する。つまり、オモリの位置が、空バリの時よりも下がる。この場合、オモリの位置が下がらなければ、エサの沈下はウキの真下まで続くのだが、オモリの位置が下がることにより、エサはウキの真下に達する前に水底に着底してしまう。従って、エサの着底点はウキの真下から少し横方向にズレたことになる。

しかしながら、かけ上がりの場合には、上バリトントンでタナを設定したとしても、上記のように横方向にズレてしまうため、上バリトントンのタナを設定したとしても、底を切ってしまうタナ設定になってしまうこともある。それ故に、フラットの底よりもナジミ幅が出てしまうことになる。この場合には、ウキ下を上げる(深くする。)か、竿を送ってやる(前につきだしてやる)必要がある。

逆かけ上がりの場合には、上バリトントンでタナを設定したとしても、上記のように横方向にズレてしまうため、上バリトントンのタナ設定が逆にズラしてしまうタナ設定になってしまう。それ故に、仕掛けを引っ張る力が弱まり、フラットの底よりもナジミ幅が少なくなってしまうことになる。この場合には、ウキ下を下げる(浅くする。)か、竿を引いてやる必要がある。

5.底釣りにおけるシモリについて

下図を参照していただきたい。

出典:「へら専科」2005年12月号より

釣り場は一見水が静止しているように見えても、必ず流れがある。釣堀や管理釣り場ではエアレーション、野釣り場では風がつきものである。

この水の動きが仕掛け、特にミチイトに影響して、糸フケを生じさせる。底釣りでは、ハリが底についていること、野釣り場では枯れ木や岩がハリに引っかかり糸フケを助長する。これが、なじみ幅がでていながら、エサが持っていない典型的な例である。

6.エサが持っていながら、エサ落ち目盛もしくはエサ落ち目盛以上の目盛がでるケース

上記とは逆に、エサが持っているのにナジミ幅がでないとこがある。典型的な例が両グルテンの底釣りである。

これは、グルテンエサそのものが軽いため、寄ったヘラブナのあおりによって、グルテンが底から離れてしまい、その結果、ウキはエサ落ち目盛を示す。両グルテンの釣りでは、エサ落ち目盛が出た状態から、ツンとアタリがでることが往々にしてある。

同じようにバランスの底釣りにおいて、ウキがなじむ、ふわっと戻してツンとアタルというのも、エサが底から離れ、その浮遊したエサをヘラブナが食うため、上記一連の流れのアタリが出るとも考えられる。

7.まとめ

底釣りは、宙釣りと違い、エサの重さ=ナジミ幅とはならない。

また、今回解説したことをイメージしながらウキを見ると、今まで以上に底釣りが楽しいものとなるのではないだろうか。

そのためには自分なりの基準、つまり「正確な底立て」が必要なのは言うまでもない。

前回ご紹介した、「表面張力を利用した水深測定方法」は、誰でも簡単にかつ短時間で、水深計測を可能にすると考えている。


次回は、「ヘラウキの使い分けについて(私見)」について、解説していきたい。

以上

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